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二人は顔を見合わせ、ニタリと笑顔を揃えて俺を見やった。
なにそれ、滅茶苦茶怖いんですけど。
「フフフ……聞いて驚くなよ? では沖田氏、解答を」
「お前いうんじゃなかったのかよ……まあいいけど。で、鳴海よ。心の準備は良いか?」
生唾を飲んだ俺は、小さく肯いて見せる。
「オッホン、それでは。えー鳴海君。君は幾ら自身を客観視できていなかったとしても、自分の容姿を簡単に説明する事は出来ますね?」
なんだ沖田。お前も変なキャラ作んのハマってんのかよ。
姿勢を正した沖田をからかいたい気持ちが出てきたが、それをグッと仕舞い肯いた。
「そりゃな。癖のある、男にしては長い髪に平凡な顔つき。平凡な体型……後は時たま眼鏡を掛けてくる奴。って感じだろ?」
自分で言ってて余りの冴えなさに眩暈が。
「そうそう、流石にそれは分かってるみたいですね」
満足げに肯く沖田。その後ろで見下すように俺を見下ろす鏡。
沖田がそれをやるのは許せるが、お前は許さんぞ。どっちかっていうとお前も俺と同類だろ!
目を細めて鏡を睨みつけてやるが、奴の反応は変わらない。
「で、本題ですが……鳴海春一君。君はズバリ!」
「ず、ずばり……?」
「陰キャだと思われているでしょう!!」
「な、なんだってぇえ!?」
予想外過ぎる解答に椅子から崩れ落ちる。
だ、だって俺、いくら見た目が普通とは言え、何気にクラスの中心人物的なこの二人と昔からの友達だし……実のところ内心は普通そうに見えて実は面白い奴とか言われてると思ってたんだけど。
絶望の色を惜しげも無く晒した俺。それを見る二人は「してやったり」と言いたげに爆笑している。お、お前ら……親友だと思ってたのによ。
しかし、この話は俺を傷つけて終わり、というわけでは無かったらしく。
目尻に涙を溜めた鏡が腹を抱えながら口を開いた。
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