俺の場合は後者。内心は――。

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「と、取り敢えず落ち着けよ! プフッ……こ、この話には続きがあってだな」  俺は極めて落ち着いているぞ鏡。今にも家庭科室から包丁を持ってきそうな程にな! 「そうそう。さっき本題って言ったところだが、重要なのはここからなんだよ!」  慰めるように背中を叩く沖田。しかし、彼ですらも笑うのを必死にこらえている。  これは何ていう新手の虐めなんだよ、全く。  幸せから一転、どん底に落とされた俺は湿度の高そうな視線を二人に送る。 「ハハハッ、そう睨むな睨むな。此処からはお前とあの人の今後を考えて、鏡が提案した話なんだからよ!」 「そうそう! この俺を差し置いてあの人と仲良くなったお前に嫉妬――オホンオホン、二人の事を一番考えている俺だからこそ、考え付いたお前のための計画!」 「か、鏡が俺達を思っての計画……?」  輝いた瞳で俺を見つめてくれるのはありがたいんだけど……滅茶苦茶胡散臭(うさんくさ)いぞ。もうほとんど本音口に出してたしさ。  俺の疑うような視線を感じ取った二人は、またしても目を合わせて不敵に笑う。それがやはり胡散臭く感じてしまう俺だったのだが――二人が口を揃えて放った言葉に、思わず開いた口が塞がらなくなってしまった。 「「第一回! 鳴海春一改造計画!」」    ******  あの発表から一日跨ぎ日曜日、恋の伝道師たる俺――沖田正則は学校近くの有名なショッピングモールにて二人を待っていた。  そもそも、あの計画を鳴海に発表することになったのは鏡の一言が始まりだったりするんだが。 『俺思うんだ――鳴海と渚ちゃんって釣り合ってなくね?』 『同感』  確か鳴海が渚先生と昼を食べに行った時だったな、うん。あいつが居なくなって直ぐ、学食へ向かう途中での会話だった。
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