俺の場合は後者。内心は――。

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 自分で言うのもなんだが、俺達三人は小学生の頃から目立つ方で、俺と鏡はそこそこモテていた。  鏡は昔から陸上一筋で、中学の頃百メートルで全日に選ばれたこともある実は凄い奴だったり、俺は俺で両親が学生時代所謂〝主人公〟的ポジションであった事から顔は悪くないし運動神経も結構いい。鏡のように部活に入っていたわけでは無いが、何故か先輩後輩からモテた。本当に、自分で言うのもあれなんだがな。  で、対する鳴海はというと昔から色恋沙汰とは無縁で、普段から俺らと一緒か趣味に没頭しているかの二択だった。だからなのか、気が付けば自分の身なりなんて何一つ気にしない変人になってしまっていた。  しかし、だからといって周りのやつ等に言われるような『陰キャ』などとは程遠く、何気に中学から始めた柔道でこれまた全日本に選ばれた程の運動神経の持ち主だったりする。まあ、結局その大会の途中に「飽きた」なんて言って棄権、その後大激怒した道場の師範からクビを言い渡されて中三で辞めたのだが。  こんな感じで、あいつは基本的に何でもこなせてしまう隠れ天才少年何だが……これまた腹が立つことに散らかった前髪を上げると顔も悪くない。それこそ、俺なんて霞んでしまうくらいに。でもあいつは〝自分自身〟にそこまで興味がない。口ではモテたいやら彼女が欲しいやらと昔から言ってはいたが、実際紹介しようとすると真顔で断られてしまう。  とまあ要するに、鳴海はポテンシャルだけで言うと学園のプチアイドルになってしまう程凄い奴なのだ。そいつがずっと適当な理由でくすぶり続け、更にはクラスメイトから陰口まがいの事を言われているっていうのは、少々気に食わない。あいつは俺ら二人にとって〝恩人〟だからな。  ほいで今、鳴海はスポーツやゲームじゃなく初めて〝人間〟に興味を示し、悪ふざけだったとしても真剣にその人と向き合おうとしている。それを俺達でなんとか支えてやれないか、と考えて今日の改造計画を思い立ったのだ。  後になって自分を磨くことを怠ったせいで別れたなんて結果になったら、目も当てられないからな。あ、因みに鏡は十割方私情で動いているぞ。    なんて友達想いなんだ、と冗談交じりに溜息を溢した俺は、いつまで経っても現れない二人に疑問を感じつつ『フードコートで座っているからな』とLIENのグループに送ってその場を後にした。
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