俺の場合は後者。内心は――。

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   ****** 「すまんすまん! 遅れた!」 「何やってんだよ! 態々お前の為に集まってんのによー」 「鏡、それ今さっき来たばかりのやつが言えたことか?」 「ちょ、沖田氏! マジそういうの止めて!」  息を切らせてフートコートに到着すると、沖田と鏡が駄弁っていた。  俺が待ち合わせで遅れたのは今回が初めてだったこともあり、二人はなんやかんや言いつつ簡単に許してくれる。  畜生……普段話しかけても無視する癖に、こういうときだけ俺をいいように使いやがるんだ。  つい先ほど家で起こった〝姉〟との攻防を思い出し、俺は誰にも聞こえぬよう小さく舌打ちした。   切り替え切り替えっと。 「それで? 俺を改造するってどうすんだよ?」  フードコートから離れた俺達は、沖田の提案で取りあえずぶらぶらする事になったのだが、結局何をどうするか聞いていない俺にとってはゴールの見えないマラソンのような気がして落ち着かない。  俺の質問に対して、鏡が胸を張って答えた。 「まーまかせんしゃい! 昨日の晩にあれやこれやと練ってきてある!」  ジャジャーンと口で効果音を演出した鏡は、履いていたお洒落ステテコのポケットを(まさぐ)り、何か書き記された紙を(かか)げた。  薄っすらと透けて見えた文字には「十三時服屋、十四時靴」と見えたので、鏡の言ったようにスケジュールでも乗っているのだろう。 「おお、鏡にしてはやるな。俺は行き当たりばったりで如何にかしよとしてたぜ」 「沖田氏は意外と雑だな」 「うるせぇ」  二人の会話に頬を緩ませつつ、俺は太もも辺りでバイブレーションを繰り返すスマホを取り出した。相手は誰かな――。 「んなっ!?」
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