プロローグ

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 よく学生時代〝――に負けたら告白な〟とか〝あいつは――に告白したから次はお前な〟みたいなしょうもないノリがあったと思う。それで全然興味なかったのにオッケーされちゃってどうしようとか、逆にこれに乗じて本命に告白して振られてめっちゃ落ち込んだりとか、当事者じゃなかったとしても周りであったと思うんだ。  それでさ、そういうのって俺達のグループというか、仲間内でもあったりして、何気に今まさにその当事者に俺がなっちゃったりしててさ。  でもでも、そういう場合ってよく告白されてる学校のアイドルだったり、クラスの人気者だったりと結構〝あーなるほどね〟って皆肯くような相手だと思うんだ。っていうか絶対そう。  で、肝心の俺も夏休み直前の期末テストで賭けをやってた友達に負けてそういう感じになっちゃったりしたんだがだが……。  その相手がねぇ――――。    ******  俺、鳴海春一(なるみはるいち)はとある人物を呼び出して学校の屋上で待機していた。  時刻は十八時前。それより前だと相手様の都合が悪かったりするからこの時間にした。その間俺は図書館に籠って必死に〝教科書〟を読み(ふけ)っていましたまる。  正直、こういったのは初めてだから滅茶苦茶緊張しているという……。  これも、もう少しまともな相手だったらマシだったんだけどな。  ポケットからスマホを取り出し、定刻ピッタリになった事を確認した俺は大袈裟に深呼吸を繰り返し、緊張を解きほぐす。今回呼び出した〝彼女〟は時間に厳しい人だ。仮に相手も緊張して来るのに躊躇(ちゅうちょ)していたとしても、もうそろそろ――。  長年使われていなかった事で錆び付いてしまった屋上の扉。それが耳に宜しく無い音を立てて開かれた。 「――おお、数時間ぶりだな。鳴海」  現れたのは白衣を着た女性。緩いパーマの掛かった栗色のショートヘアに、黒縁眼鏡、太めの眉が特徴的な美人さん。そして――。 「ま、待ちくたびれましたよ――渚先生」  彼女はうちの高校の教師なのだ。科学を専攻している今年二十四の新任。名前を渚晶(なぎさあきら)といい、その容姿や男勝りな言動により、学内で人気の高い人物だったりする。
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