俺の場合は後者。内心は――。

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   ****** 「――――てなわけでして」 「「…………」」 「あ、あははは、は」  二人の視線が痛い……。  けどさ、けどさ。これって俺のせいじゃないじゃん? 偶然に偶然が重なってああいった結果になっただけであって……ねえ?  あの告白から翌日、俺は早速賭けの仲間であった沖田正則(おきたまさのり)鏡浩二(かがみこうじ)の二人に事の顛末(てんまつ)を報告した。その結果がこれだ。二人からのジト目攻撃。教室だしあまり大声出さないのはありがたいけども!  俺だってあんな結果になるとは思わなかったし、ましてやその後先生の家にお呼ばれしてご飯をご馳走になるだなんて想像もしていなかった。その時の先生の表情や態度ときたら……女の子はいつまでも女の子なんだなと思いましたはい。  二人の視線に晒された俺は、大袈裟にリアクションを取りつつ更なる弁解を続ける。 「違うんだ違うんだ! 俺は悪くないいいい!!」  我ながら何とも頭の悪い。  すると、茶髪ピアスのチャラ男代表沖田君がジト目を止めて溜息を吐いた。 「あのな、お前罰ゲームだったとしてもオッケー貰えたんだろ?」 「う、うん……」 「はあ……正直、俺としてはなんて羨まけしからんと言ってやりたいところだが――今後どうする気なんだ?」  なんか珍しくまともな事を仰られた。  そう、これに関しては俺も悩んでいたのだ。渚先生とは俺がこの高校――桜蘭高校(おうらんこうこう)に入学してくる数カ月前から面識のある、唯一仲のいいと言える先生だ。その繋がりについて今は置いておくとして、この半年ほどで彼女がいかに純粋であるかを俺は理解している。  渚先生の恋愛経歴は、年齢イコールと言えば大体分かってもらえるだろう。あんな美貌とけしからんプロポーションを持っていて尚、何の経験も無いのだ。  それも、彼女曰く初恋もまだだと。それが今回、俺はとんでもなくクズい理由で彼女の〝初彼〟という地位を頂いてしまったのだ。なんとも由々しき事態。
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