俺の場合は後者。内心は――。

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 本気で怖がる俺を見て、沖田は楽しそうに笑う。 「ハハハッ。でもよ、本当にしっかりやれよ? あの人、お前をオッケーしたってことは、お前が初恋だってことだろ?」 「あ……言われてみれば」  それから意地悪そうに続けた沖田の言葉に、俺の頬を冷や汗が伝う。た、確かにそうだ。言われるまで何も気が付かんかった。  そんな反応の俺を見て、沖田は呆れたように首を振った。 「はあ。本当にあの人こいつの何処が良かったのやら」 「ちょ、お前! 友達なのにそれは無くないか!?」 「いや、事実だしな」  あーだこーだと言い合いを続けた俺達は、取り敢えずこの事実を内緒にすることに決めた。それと、俺が適当に渚先生と付き合っているように感じたら、沖田が鏡を連れて渚先生に事実を伝えるという事も決まった。  何気に、沖田はチャラチャラしているように見えてしっかりしている。見た目相応恋愛経験も十五歳ながら豊富。しかし、そのどれもしっかりとお付き合いを果たしており、ただのちゃらんぽらんとは言い難い人物だ。実際、付き合った人数も二人のみ。とは言え、未経験な俺達からしたら立派なチャラ男に他ならないが。  何かとお世話になっている事も多いし、今回だってそうだ。面と向かって言うのは恥ずかしいが、心の中で言うのくらいは良いだろう。ありがとう。  こうして俺は、学校のアイドル的存在の先生、渚晶先生とお付き合いをすることになったのだが……実際のところ、友達の前では少し嫌そうなそぶりを見せたが内心は真逆の気持ちだりする。  つまり、フィーバー状態。  これくらいで察してくれ。俺は今、お昼の時間が迫っているという事実にぶっ倒れそうなんだ。    ******  つ、ついにやって来てしまった! 昼 休 み !  俺は破裂しそうな心臓を左手で押さえつつ、震える手で右側のポケットに入ったスマホを取り出した。先程、バイブが数回なっていたのだ。
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