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ちゃんとセツさんの家に帰れるだろうか。
空を見上げても雨は止む気配がなく、トタン屋根に雨が打つ音が響いている。
退屈しのぎに小屋の中を見回すと、背後には棚が二段あってその上に籠がいくつも並び、さつまいも・にんじん・キュウリ・ナス・キャベツ等が並んでいた。
『どれでも100円』
鍵付きの手作り集金箱の上に、そう書かれた紙切れが貼られている。
「安いなぁ。地元のスーパーなら、この2倍以上するのに。」
私は販売所の隅に置かれたパイプ椅子に座った。
さて、どうしよう。
無人販売所には置き傘はなく、借りて帰る事も出来ない。
途方に暮れ、私は雨が降る空をまた見上げた。
どうにか暗くなる前に帰らないと。
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