恋の行方

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 ああ、僕の想いは募るばかりだ。彼女に対して友達以上の感情を持ちながら恋人になれないという諦めの気持ちの中で揺らいでいる。  友達以上恋人未満。本来は友達以上に仲がいいが恋人ほど深くはない関係を指すのだったか。  まあ、そんなことはどうでもいいか。  今日は彼女にとっての大事な日。つまり『彼』に想いを伝える日なのだ。  きっと、彼女の恋は実るだろう。『彼』だって彼女のことが好きなんだから。いわゆる、両想い。  それを知っていたからこそ僕は身を引こうと決めたんだ。  君は、恋を叶えるんだ。僕にとってそれは失恋を意味するけれど……それでいいんだ。  君が幸せになってくれるなら僕も幸せだ。  頬を伝うものがぽつり、と床に落ちる。……ああ、おかしいなぁ。泣かないって決めたのに。 「……さよなら、僕の初恋」  僕は呟く。君に、僕の気持ちが届いたら良かったのに。
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