10月  その1

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 渡部しのぶのような色々な意味で「頭のいい」学生は、五嶋は嫌いではない。  書類上「優秀な学生」であるしのぶに、今更生活態度を改めるよう注意するのは野暮というものだ。そもそも、不精者である自分に注意できる資格はない。  彼女の要領のよさがあれば、この先卒業までに何か問題が起こっても上手く切り抜けるだろう。  しかしながら──やはり担任としては、放蕩生活を続ける彼女が気がかりであることはまちがいない。
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