1月、そして2月

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「……私、先生に言ったよね? 『一夜限りのいい思い出にしよう』って。『後腐れはなし』って。だからもう、先生には関係のないことなの」  あの夜、しのぶは確かにそう言った。  だがあれは、彼女の本音ではなかったと五嶋は思っている。嘘、いや方便だったと。 「この子を産もうが堕ろそうが、私の勝手なの。わかったらもうほっといてよ」 「お前は本当にそれでいいのか?」 「いいに決まってるからこう言ってるんじゃない。先生に養育費請求したり認知しろとか言わないからさ。先生には面倒なこと何もないでしょ? もうすぐ卒業式なんだから……このままで終わらせてよ」  養育費に認知──考えてることがわかりやすい。  勝手とは言うが、しのぶは堕胎などせず、一人で産んで育てるつもりだろう。 「……本当にそれでいいんだな?」  しのぶの目をじっと見つめ、念を押すようにたずねる。彼女は鼻で笑って見せた。 「くどいわね。同じこと何回も言わせないで」 「そうか……」  五嶋はしのぶに向かって歩み出した。  しのぶは一瞬怯んだが、五嶋の身体は彼女の真横をすり抜けていた。 「じゃ、お前の好きなようにしろよ」
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