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「だからさぁ、いい加減あきらめてよ。しつこいっつーの」
勝手な言い分だ。細かいことはわからないが、何だか相手の男が気の毒になってくる。
「オレは……オレは……絶対に別れないぞ!」
涙目になった男が、しのぶめがけて突進する。
次の瞬間、しのぶのピンヒールブーツが男の股間に炸裂していた。鮮やかに決まったその蹴りに周囲があっと息を飲み、男たちが皆一様に顔をしかめる。
苦悶の表情を浮かべ、股間を抑えながら跪いてしまう彼を、しのぶは勝ち誇ったように見下げた。
「あんた下手クソ過ぎるの。この××××が」
男なら耳を塞ぎたくなるような捨てゼリフを吐いて、しのぶは五嶋の腕をつかんで引っ張り、その場から逃げ出した。
騒ぎの輪が見えなくなるところまで引っ張られてから、しのぶはようやく手を離して五嶋を解放した。
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