二ツ星恋愛恋慕

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存在は曖昧で、焦点のあっていないカメラ越しに世界を観ている感覚だった。例えば、朝日が射す部屋の塵のようにゆらゆらと漂い、又は生い茂る葉と葉の間から木漏れ日の様にチラチラと揺れる。ただ無意識に日々を観ていた。 あなたに会うまでは…… そして失ってしまった理由を…… 俺が望んだのは、日々を感じたいだった。その為に、今の存在を手に入れ学び人として暮らしている。 意識が鮮明になった時には、真面目な教師として俺は存在していた。 「先生、さよなら」 「はい、さよなら気を付けて帰れよ」 「はーい」 廊下を歩いて行く生徒を見送ると職員室のドアを開けた。
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