二ツ星恋愛恋慕

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「あ……」 蒸し暑い空気が肌を掠める。怪しげな雲が低い空を這い、降り出した雨を眺めていた。 「先生、傘持ってないの?」 「……あ」 「なに? びっくりした?」 色素の薄い髪と大きな瞳。白の肌とこの時期特有の華奢な身体だった。 俺は、必要最低限しか人と関わらないようにしてきた。真面目な先生は、装った自分なのだから急な融通が利かない。それっぽい言葉を選んで尋ねた。 「……傘忘れたのか?」 「うんん、雨の音って和むなって思ってさ」 大きな瞳は、どこか楽しそうに空を這う雲を追った。雨なんて鬱陶しいだけでそう思うのは、君だけじゃないかと言ってやりたかった。 少し変わった子だと担任の先生から聞いている生徒だった。授業では居眠りしているか、ただぼーっと空を見ていて注意してもダメだと困っていた。 俺の専門教科は理科。比較的、俺の授業は聞いてくれているみたいだったが、興味のない授業は居眠りをしていた。分かりやすいといえば分かりやすい。だからといって、テストの点数が悪いかというとそうでもない。頭のいい子なのだ。
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