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要領の悪い俺からしたら羨ましいがな……
「先生は、宇宙に行ってみたいとか思ったことないの?」
「……え?」
話が唐突過ぎてついていけない。地学は一応、理科の教師として知識はあるがそこまで考えたことかない。
俺は……こうして存在するだけで奇跡なんだ。普通の暮らしが出来るだけで何も要らなかったから。
「先生って何に興味があるの? って人に興味なさそうだもんね。先生って」
大きな瞳が真っ直ぐ俺を見ていた。俺はその目線から逃れるように視線を外した。
「……なぜそんな風に見えるんだ?」
「ん……自分と同じ匂いがするから…かな」
ドキ
ん? なんだ? 今の……?
「へぇ……そっか」
俺は空を這う雨雲を暫く眺めていた。我に帰った俺は、慌てて鞄から折り畳み傘を取り出し差した。
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