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一ヶ月前。
あの日、あのとき。朝田ハルキは、遠藤ヤマトと北園エイコと一緒だった。
ヤマトとエイコとは、中学時代から続く十年来の友だ。
三人はいつものように居酒屋に集合し、焼き鳥やだし巻き玉子なんかをつつきながら、色鮮やかだがアルコール薄めのチューハイとか、氷で薄まった烏龍茶なんかを飲んだのだった。
「ハルキ、相変わらずお酒飲めないね」
エイコは、職場のキモい先輩とやらの悪口の合間に、いつも急に思い出したように、同じことを言う。
「体質だから、しゃあないよな」
ヤマトが焼き鳥にかじりつきながら、さりげなく助け船を出す。
それもいつものことだった。
この街は、朝田ハルキ達三人の生まれ故郷だ。大学卒業後に帰郷して以来、三人は毎週のように居酒屋で膝を突き合わせて一時間ほどを過ごし、とりとめのない話をしていた。
居酒屋で時間を過ごした後、毎回ではないが、結構な頻度で遠藤ヤマトと北園エイコは二人だけでラブホテル街へ消える。ヤマトとエイコの二人は一年ぐらい前からそういう割り切った関係だった。朝田ハルキは、それについてはどうとも思っていなかった。
きっかけは、何処にでも転がっている些細な出来事だ。
大学を卒業後に三人で土曜日の夜に居酒屋に集合するようになってから、二年が過ぎたある日。三人で個室のカラオケに行った。その日に限ってエイコは、恥知らずなほど露出度の高い服装だった。それはエイコが意図したものだったのか、それともただの偶然だったのか、どちらにせよ個室の中で当たり前のように妙な気配になった。結局三人は、女ひとりに男ふたりが群がる形になって、お互いの身体の感触を適度に楽しんだ。もちろんそれだけでは収まらなかった。三人はラブホテルの空き部屋を探し、眠気も忘れて朝まで卑猥な行為を楽しんだ。
朝田ハルキは、そのときの一度限りで幻滅して馬鹿馬鹿しくなり、そのようなセックスフレンド的な関係からは距離をおいたのだが、遠藤ヤマトと北園エイコは飽きずにずっと続いているのだった。ただそれだけのことだ。それは三人の友情にとって何も不都合ではなかった。
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