明日は我が身か

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あれから一ヶ月。 朝田ハルキは今、ピンサロ〈欲望うずまくOL〉のチラシが貼り付けられた電信柱の下で、銃の密売を生業とするあの男を待ち続けている。 例の男が先ほど消えていった通路は、人がやっとすれ違えるぐらいの道幅だ。そんな酷く狭い通路の先を、朝田ハルキは瞬きも忘れて見つめ続けた。やがて視線の先に人影が現れた。人影はぐんぐん近寄ってくる。あの男だった。朝田ハルキの緊張は高まる。そして、全身の体温が上昇してゆく。 やがて、男は朝田ハルキの前に立ち止まった。 男は、濃いサングラスで目線を隠したまま言った。 「覚悟は決まったようだな。もう後戻り出来ないぞ」 言われるまでもない。 朝田ハルキの決心と覚悟は本物だった。
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