第一章 私の嫌いなもの

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世界は音で満ちあふれている。 齢14、精神的にも肉体的にもまだまだ未熟な私はそう判断を下した。 教室内に響く笑い声、廊下に響く怒鳴り声、誰かの悪口、声、声、声……… 私は、音が大嫌いなのだということを悟った。悟るのに時間はかからなかった。 あの日から、もう何日たったのだろうか。 あの日から、私は、心から笑うことができなくなった。 あの日から、誰かにどんな形であれ、「好き」という感情を抱くことがなくなった。 あの日から、私の手首には真っ赤な線が走っている……
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