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夢の中で
その夢は、とても美しくて、本当に夢のようで……
そして、とても恐ろしい夢でした。
私は走っていました。螺旋状の階段を、必死になって上っていっていました。そこは塔なのでしょうか、上に続く階段があったのです。
何かから逃れるかのように。怯えた表情で、それでも捕まりたくないかのように。ただひたすら、走っていました。
後ろから、声が聞こえてきました。
「メリー!待て!逃がすものか!」
そのこえがきこえると、私はもっと全力を出したようで、ポニーテールに結っている髪の毛が乱れ、清楚な白いワンピースが蠢いています。
「助けて……」
私は走りながら、そう呟いていました。だけど、まるで雲の上を走っているかのようで、ちっとも前に進んでいる気がしませんでした。
私の体力もだんだん減り、走るスピードが落ちていきます。追っ手がどんどん近づいてきます。
「もうだめだ……」
私はそう呟き、目を閉じて、すぐそばにあった窓から、身を投げ出しました……
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