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お鍋でスープを煮込む間、サヴィと私はいろんな話をした。
年齢、好きな物、子供の頃の夢。
私はサヴィが二十三だと知ったし、恋人もいないとわかった。
駄目だと思いながらもサヴィに惹かれる自分をとめられない。
炎に照らされて微笑むサヴィはすごく綺麗で、ときどき泣きたくなるくらいだった。
帰りたい。
でも、サヴィから離れたくない。
どっちの気持ちも本当で、私は迷子の瞳をしているだろう。
スープは驚いたことに上出来だった。
「塩とキギラ草だけでこの味が出せるのか・・・・・・ユカは凄いな」
「た、たまたまだと思うよ」
「たまたまでもすごい。美味い」
「・・・・・・サヴィも手伝ってくれたからだよ」
美味い美味いと食べてくれるサヴィに、私は照れてスープをかき混ぜる。
過去に恋人はいたし、料理を振る舞うこともあった。
でも、こんなに喜んでくれたのはサヴィが初めてだ。
ふと、サヴィがスープを食べる手を止めた。
「・・・・・・そろそろ時間だな」
どくん、と心臓が鳴った。
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