おじやと魔法使い

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 母が風邪をひいた。  大したことないようだけど、一応お粥を作ろうとしたらおじやが良いと言うので、めんつゆを使ってさっと作った。  味はまあまあ。  さて、母の部屋に行こうとおじやの入った土鍋を持って足を踏み出した時だ。  足元が突然光り、眩しさに目を閉じる。  そして、次に目を開けた時にはもう、私は何処ともしれぬ雑然とした部屋にいた。 「え?」  訳がわからず立ち尽くす私。  部屋はそう広くはなく、本やら何かわからない道具があちこちに置かれている。  そんな部屋の真ん中あたりに、なんと紫色をした髪を腰まで伸ばした男がいた。 「あーー」  男はぽりぽりと頭を掻きながら硬直したままの私を見て、ひと言。 「失敗した」  おじやを放り投げなかった私は偉いと思う。
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