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「ーー本当は、妖精を呼び出すつもりだったんだ」
もぐもぐ、おじやを食べながら紫髪の男が言う。
「妖精? 小さくて羽が生えている?」
ふうふう、と私はおじやに息を吹きかけてからぱくり。
猫舌なんだよね。
場所は先ほどの部屋ではなく、台所らしき部屋。
先ほどの部屋ほどではないものの、やはり散らかっていたので、簡単に片付けてからおじやを分け合って食べている。
なんでこんな状況で掃除したりおじや食べたりしているんだろう。
そうは思うけど、まあ、おじや冷めちゃうし、あと、めちゃくちゃ見つめられていたしね。おじやを。
「変わった味だが、美味いな」
「そう? ありがとう」
もぐもぐ、ふうふう。
二人、しばし無言でおじやを食べる。
多めに作っておいてよかった。
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