おじやと魔法使い

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「甘いのと渋いの、どっちがいい?」 「えーと、甘いので」  おじやを食べ終えると、今度は男がお茶をいれることになった。  気分は緑茶だったけど、ここはたぶん元の世界じゃない。  下手に渋いのと答えて飲めなかったら困るからね。  無難に甘いのにした。  男は不器用な手付きでポットにお茶の葉らしき物を入れ、水差しから直接水を注ぎ、そして蓋を閉めると何ごとかをもごもごと呟いた。 「出来たぞ」 「えーー」 「・・・・・・なんだ、その不満そうな声は」  男はしかめっ面をするけど、ねえ。 「ちょっと失礼」  私は置かれたカップをひとつ手に取り、ポットからお茶を注いだ。  予想どおりお茶は熱かった。  きっと、魔法かなにかで熱くしたんだ。  それはいい。  お茶は濃いピンク色をしていたけど、まあ、それもいい。  良くないのは、お茶の葉だ。 「やっぱり。そのまま入れたから、お茶の葉が凄い入ってる・・・・・・」  カップの中には、お茶の葉が大量に浮いていた。 「少し待てば沈むだろ」 「・・・・・・えーと、茶漉しってあるかな?」  茶漉し自体無いのかなーと思ったけど、ありました。  もう一度、今度は私がいれて、暖かめるのだけお願いする。  いれなおしたお茶は、ふんわりお花の香りがして、そんなに甘くないけど美味しかった。
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