19人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「甘いのと渋いの、どっちがいい?」
「えーと、甘いので」
おじやを食べ終えると、今度は男がお茶をいれることになった。
気分は緑茶だったけど、ここはたぶん元の世界じゃない。
下手に渋いのと答えて飲めなかったら困るからね。
無難に甘いのにした。
男は不器用な手付きでポットにお茶の葉らしき物を入れ、水差しから直接水を注ぎ、そして蓋を閉めると何ごとかをもごもごと呟いた。
「出来たぞ」
「えーー」
「・・・・・・なんだ、その不満そうな声は」
男はしかめっ面をするけど、ねえ。
「ちょっと失礼」
私は置かれたカップをひとつ手に取り、ポットからお茶を注いだ。
予想どおりお茶は熱かった。
きっと、魔法かなにかで熱くしたんだ。
それはいい。
お茶は濃いピンク色をしていたけど、まあ、それもいい。
良くないのは、お茶の葉だ。
「やっぱり。そのまま入れたから、お茶の葉が凄い入ってる・・・・・・」
カップの中には、お茶の葉が大量に浮いていた。
「少し待てば沈むだろ」
「・・・・・・えーと、茶漉しってあるかな?」
茶漉し自体無いのかなーと思ったけど、ありました。
もう一度、今度は私がいれて、暖かめるのだけお願いする。
いれなおしたお茶は、ふんわりお花の香りがして、そんなに甘くないけど美味しかった。
最初のコメントを投稿しよう!