時節到来

今、私は『エブリスタ』という、この小説サイトに登録をしていたT氏という者の身体を借りて、この文章を書いている。

私は、ついさっき死んだ。
享年78歳ということになる。

私はドキュメンタリー作家として、それなりに世に知れた生涯だった。有名に成りたいと望んだ人生ではなく、ただただ真実を知りたい、それだけが自分がこの世に命(いのち)を宿(やど)した意義だと感じて生きてきた。

これから、書き記す内容について、T氏に追求することは、どうか勘弁を願いたい。彼は一切、何も覚えてはいない。

無断で彼の身体を借りておきながら、更なる迷惑を掛けたくはないという、私の遺志を尊重していただくことを望んでならない。