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腐った汁だけでも臭いというのに、さらに異臭がする扉を開くなんて… 私はやはり、完全なるMなようだ。 病院の扉のような、横開きの扉――所々赤黒い染みや、カビのようなものが付着していて、目にするだけで気味が悪い。 私は、鼻の孔に力を込めて、扉を開いた。 「う…うおおおおおお」 臭い… 臭すぎる… 目に飛び込んできた物は、 何年も洗っていないカビの生えた、散乱している衣服――そこから発されているアンモニア臭が、私の鼻腔を激しく刺激する。 …もう駄目だ。 眼も痒い…体中も痒い… こんなに臓器が破壊されるような刺激臭は、流石にMの私にも耐えられない――。 朦朧とする意識の中――痙攣している指先で、衣服を一枚摘まみ、 私は、最後にこう思った。 「汚れた物は…押し入れに詰め込んでも…汚れたままだ」 【GAME OVER】 ◆スタートへ戻る
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