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9
――私は一心不乱、
ひたすら、モンスター目掛けて殴りかかった。
「ミュィィイイイイイィイイ!!」
気色悪い奇声を上げ、もがき苦しむモンスター。
ドカッ
ボカッ
ガギッ…
鈍い音を鳴らすにつれて、モンスターの声が弱々しくなっていく。
「ミュ…ィィイイ…」
モンスターの身体から湧き出ていた液体が、血の様に赤く染まっていく。
「ははは!気持ち悪いモンスターめ、死ね!死ねええ!」
手を赤く染めながら、大声を上げた私は――、
胸を刺される様な、強烈な殺気に襲われた。
ぺたっ
ぺたっ
ぺたっ
「ミュウィゥィイィイイイイイ!!!」
暗闇の影から、手に包丁を持った、もう一匹のモンスターが現れた。
「…もう一匹いるなんて、聞いてないぞ」
憎しみで溢れた眼をしながら、物凄い勢いで階段を駆け上ってくる。
ズブッ
ズブッ
私の腹に突き刺さった包丁。
抜こうにも、激痛が走り――全く抜けない。
全身の力が抜け、階段を転がり落ちる。
痛い
痛い
痛い
朦朧とした意識の中、頭上には私を見下ろしているモンスターがいた。
霞む視界で見たモンスターの顔は…
私の父に似ていた。
【GAME OVER】
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