33人が本棚に入れています
本棚に追加
リニューアルオープンしたばかりの水族館は、日曜ということもあり、想像以上の混雑だった。
歩きながら必死に水槽に目をやるも、人混みでなんの魚か確認できず、一目でわかる種類もいれば、よくわからない姿をしたものもいる。それらを数秒目に焼き付けては移動をくり返した。
やっとのことで一巡し、たどり着いたレストランでは、一時間近く待ってようやく案内される。
「はぁ~、疲れたねぇ」
ソファー席にバッグを投げ出し、一息つく。
「ほんとだな」
祐也はそう言いながら早速メニューに目を通している。
「ありがとね。人混み嫌いなのに。私が前行きたいって言ってたの覚えてくれてたんだよね」
「ん……まぁ」
あれ。まただ。なんかいつもと違う。
どうかした?
そう聞く前に、メニューを渡された。
「俺決まった。美千華どれにする?」
「あー、えっと」
混んでるから早く決めなよ。
そう急かされてるようで、焦る。
祐也はせっかちだ。そこがマイペースな私とは合わない。いつもイラつかせているような気がしてしまう。
祐樹なら。
祐也といるといつもそんな風に考えてしまう。
だからもう終わりにする。
祐也に別れを告げる。
だって私は祐樹に告白するつもりだったんだから。
最初のコメントを投稿しよう!