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二ヶ月前。ちょうど夏休みに入る直前だった。
今年の夏は祐樹と過ごしたい。
その一心で、告白することを決意した私は、部活後、話があるからと部室に残ってもらっていた。
そこまでは良かったものの、緊張しすぎてなかばパニック状態になっていた私は、大好きな祐樹を前に、なぜか名前を間違えてしまったのだ。
「わ、私……、祐也のことが好き」
あの時の祐樹の笑顔が忘れられない。
「……えっ!? マジですか? 先輩が兄貴のことを? 」
なぜかとても嬉しそうにしている祐樹の言葉で我に返った。
「兄……え、えっ??」
間違いに気づいた私は、言い直そうと思ったけれど、ちょうど先生が入ってきて、うやむやになってしまった。
でも、祐也の耳に入ったとしても私のことなんて気にかけてないと思ってた、のに。
お互い、ただのクラスメイト、だったのに。
「美千華、付き合おう、俺達」
祐樹とよく似たその顔で言われると、これから好きになっていけそうな気がした。
でもやっぱり違った。
手をつなぐところまではできても、その先へ進めない。
そして募っていく罪悪感。
※
私達はレストランを後にして、近くの公園に立ち寄った。
9月に入って、日に日に空が高くなっているのがわかる。
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