1*ネコが繋いでくれたもの

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「美夜子、今ちょうど離乳食あげるところだったの。コタロウにあげてみない?」 「いいの? 大丈夫かな?」 「大丈夫よ。コタロウもだいぶ美夜子に慣れたみたいだし。はい、これ」 「ありがとう」  私は璃世が差し出してきた離乳食の入った皿を受け取る。  璃世がご飯を持ってきたのがわかったからか、子猫たちが一目散に掛け寄ってきて、にゃあにゃあと大合唱が始まる。璃世は「ほら、ひとりずつ順番にね」と笑いながら、1匹ずつ順番に皿を置いていく。  コタロウはというと他の子猫たちの後ろでご飯に近づけずに、ただ様子を窺っている。コタロウが他の子猫たちの後ろによくいるのは、身体が一番小さいことも関係しているのかもしれない。 「生まれてから4週過ぎて離乳食も始めたし、そろそろ親離れの時期なのよね。みんな引き取り手も無事に見つかったし、あと少しでお別れかと思うと寂しくなるけど、この子たちには早く新しい生活に慣れてほしいと思うのよ」  どこか寂しげに笑いながら璃世が3匹分の離乳食を床に置き終わると、子猫たちは皿に顔を近づけてご飯を平らげていく。 「ほら、コタロウも美夜子からご飯をもらいなさい。美夜子、置いてあげて」 「あっ、うん」  私はご飯を食べている3匹の子猫を横目に、離乳食の入った皿をコタロウの前にそっと置く。そして名前を呼んだ。 「コタロウ、ご飯だよ」  コタロウは窺うように私に大きなまるい瞳を向けた後、すぐに離乳食に目を移し、ゆっくり離乳食に近寄ってくる。鼻を動かして匂いを嗅ぎ、そのまま食べ始めた。 「わ、食べた……!」 「あら。結構すんなり食べられたわね。ご飯をあげられるなら、触ることもできるようになるんじゃない」 「……かわいい」  一生懸命ご飯を食べるコタロウの姿に私は虜になる。璃世がコタロウにご飯をあげている光景を見たことはあったけれど、自分が差し出したご飯を食べてくれているという事実が嬉しい。  私はコタロウがご飯を食べている間も、その姿をずっと見ていた。コタロウは他の子猫に比べると食べるのもスローペースで、他のネコがご飯を食べ終わった後もしばらく食べ続けていた。
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