心のグラスにある水は

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 からかわれているのだろうか。アヤカは思考をめぐらせて、あたりさわりのない返答を探す。どう答えれば、場をしらけさせず、かつ深くつっこまれずに流せるだろう。 「あふれるくらい、いっぱいの水のほうが、いいと思うけど」  現状の満足度が答えの心理テストだから、これが無難な答えだろう。そう思って返したアヤカに、タクヒロは「そうかなぁ」と物憂げな声を出した。 「あふれるほどあるってことは、ここから先に進まなくてもいいって、自分で成長を止めているようなもんだろ」  意外な答えに、アヤカは落としていた視線をタクヒロに戻した。タクヒロの唇に、薄い笑みが乗っている。目の光は優しくて、人生を達観しているような寂しさがあった。  アヤカはタクヒロの言葉を、どう受け止めようかと吟味する。どういう意味かと聞いてみても、そんなことないよと否定をしても、会話が繋がってしまう。早々に会話を切り上げられる答えを、必死に探すも見つからず、アヤカは曖昧な笑みを浮かべて、彼の言葉を流すことにした。  感じ悪いと受け取られただろうな。     
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