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神的な女神的なリブルエチェベリカと俺
男は、今までの人生の中で、味わったことのない強烈な衝撃に『何も思い出せない』少しでも動かそうとすれば体が軋み、体中の至る所が、圧倒的な疲労感と苦痛で圧し潰されそうになる。意識はまだあるが、それも極度の眠気と体の怠さが、体と意識を引き剥がしにかかる。
虚ろな意識の中
「ああ負けたんだ」心の中でそう呟いた。暗い井戸の中を覗いているような、不明瞭な意識の中で、その水面に、チカチカと映像だけが、フラッシュバックしてくる。時折見える映像の記憶が、倒れている男の体を、更に締め付ける。そんな状態の中、男は聞いた。
「ちょっとあんたどっからきたのよ」
男の衰弱しきった体の全身に、大きな声によって起こされた、空気の振動が、脳内や内臓にまで揺さぶりをかけてくる。それはまるで、大きな鐘の中に突っ込まれて打ち鳴らされている、そんな感覚が男を襲った。男はその声の衝撃によって意識の糸がぷっつりと切れた。確かに切れた筈だったが、次の瞬間
「あ、あれ……」
切れた意識の糸はすぐに再接続されて、瞬きの仕方すら忘れ、自分の意志ではどうしようもない程傷んだ体が、疲労感と共に癒されてくいくのを感じる。
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