ずっとずーと一緒だったね

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「そっか」 寂しそうなのん君に私も寂しさが増す。 「もう帰るの?」 「いや、今からクラブ。お前は?」 「クラス委員の仕事が終わったら帰るよ」 「そっか。ま、頑張れよ」 「そっちこそ、野球頑張って」 「一年レギュラー目指すし」 自信たっぷりに微笑んだのん君。 「応援してる」 「おう。じゃあ、またな」 「うん、またね」 この時に言葉を交わしたのが最後だったよね。 名残惜しそうに去っていくのん君を、見送った時の気持ちを今ならはっきり言える。 あれは恋だったんだって。 もしかしたら、君も私に何か伝えようとしてくれてたのかな。 あの時に、好きだって気づいてたら。 気持ちを伝える事が出来てたら、私達は今も一緒だったのかな。 ねぇ? 今も私を覚えてくれてる? 私は君を覚えてるよ。 だって、初めて好きになった人だったから。 会えないまま時間だけが過ぎて、君に彼女が出来たって聞いた時に自覚した気持ち。 泣いて泣いて、もう君に手を伸ばす事が出来ない現実を上手く受け止められなかった。 幼過ぎで、自分の気持ちを知らなかったなんて。 初めての恋を知った瞬間に、失恋した。 君が彼女と歩いてるのを、何度か見かける度に胸の奥がズキズキした事を覚えてる。 家庭の事情で引っ越してしまった君にサヨナラさえも言えなくて。 君は今、どこに居るんだろうね。 大人になって家族が出来て、幸せになってくれてるだろうか。 もし叶うなら、あの日のあの時間に帰りたい。 そしたら、君に好きだって伝えられるから。 淡い初恋は淡いままで終わり。 言えなかった気持ちも吐き出せないまま終わったけど。 のん君と過ごした8年は私の宝物。 きっと私達はもう会う事はないだろうね。 ねぇ、のん君。 いつも助けてくれてありがとう。 いつも笑わせてくれてありがとう。 君が好きだよ。 多分、ずっとずーとね。
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