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死獅リバース① × ある日の夜
カラン、コロン、カラン、コロンーーー
ガシャ、ギシャ、ガシャ、ギシャーーー
ガシャ、ギシャ、ガシャ、ギシャーーー
日没からそう時間の経たない頃、ウチらは静かな山中を歩いていた。ちょっとした野暮用の帰りがてらにお散歩って訳さ。
「このペースだとあと3時間ちょっとかね」
ため息まじりにそう呟いた。
「だったらもう走りましょー。それに一度大狼とかけっこしてみたかったんですよ」
ありゃりゃ、聞こえてたのかい。
「ちょっと、何が『一度』よ。あんた前もそう言って負けたじゃない」
「去年の話だからいーの! 育ち盛りの私は日々成長しているのだ。 ………それにほらーーー」
1年ぶりに会ったけども相も変わらず未右はわがままで未左は落ち着いてるねえ。型通りの姉妹って感じがするよ。
「今日はこれがあるから」
ガシャリーーー
そんな音を立てながら未右は右腕を未左に見せた。
「あんたねえ………」
未左は呆れている表情をする。
「へえ、《爪《ツメ》》持ちならウチに勝てるってのかい?」
ウチの言葉に未右は首を縦に振る。
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