魔女の浄罪

2/40
189人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「連絡もせず帰ってきて、何なのあんた」  お母さんの呆れ声を背に受けながら、長旅で疲れた体をソファーに横たえた。 「新幹線、疲れた」 「新幹線?」 「今わたし、大阪勤務なの」 「はあ? 聞いてないわよ」  そういえば失恋の傷心やら新しい仕事やらで、お母さんに報告していなかったことを思い出した。  大阪本社に異動になった理由をうまく説明できないことが億劫で、落ち着いてから考えようと思ってからそのままだ。  ……駄目なやつだなぁ、わたし。 「大阪本社の人員が足りなくなったとかで、急な話だったの」 「はあ? 本社は東京でしょう?」 「大阪がもともとの本社だったんだよ、実際の経営が東京に移っただけで」 「なあにそれ。ややこしい」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!