第二十章 贄

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耳にかかった髪の毛に触れるモノがあった。 ビグっと驚き顔を逸らせた。 後頭部のバンドをカチャっと外し、口枷が解かれた。 「げほっ!…げほっ!あぁあああ!!!!」 溜まった涎を吐き出し、噎せ返りながら抑圧されていた言葉が一気に噴き出した。 ヘッドホンを外され、数時間ぶりに監禁男が帰ってきた。 「ずいぶん愉しんだみたいだな…」 腹筋は既に痙攣を続け、下腹部の低周波は電池が切れて動かなくなっていた。 「も…う、いぃでしょ…? 解いてよ…」 アイマスクの隙間から流れ続けた涙は乾燥し、頬…首筋…躰と渇いた痕が残っていた。 願いが通るとも思っていない私。 …が、突然手首の枷に括り繋がれた拘束が無くなった。 金属を切断する音が聞こえるとポールとの結合が無くなり、そのまま床に伏せ倒れてる私を抱き抱え、床に寝かされた。 「あうっ…!」 責め苦を与え続けられ、受け身を取る力すら残っていなかった。 続けて、下腹部のバンドも解かれ、咥えこまされた玩具までもが抜かれた。 「いっ…ぐっ…!」 あまりに突然…解放されていく躰に間隔が付いていけていない。 まだ下腹部に違和感が残り、腹部は脈打ち全身の痙攣が止まらない。 バチンッ!! 後ろ手に結合されたシャックルまでも金属を切断する工具らしきもので強い金属音を響かせ切断、解放された。 「う…」 長時間、後ろ手に縛られていて力が入らない。 床で痙攣する私は腕も脚も力が入らなかった。 目隠しされた私を抱きかかえ、仰向けに抱き寄せられると懐かしい甘い煙草の香りがした。
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