第二十章 贄

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目隠しをゆっくりと外された。 あの醜悪な怪物を見たくなく、アイマスクを取られた瞬間は伏目がちにした私。 「…大丈夫か…舞…」 抱きしめる腕の感触…手首の返し…私の身体の下敷きとなり、クッション替わりに添えられた逞しい太もも。 些細な所作に優しさが伝わってきた。 「…えっ… … …ウソでしょ…?」 外されると、目の前には社長が居た。 何日も…何時間も涙を流し続け…枯れたと思った涙が… …この数日間…一番流した。 「あっ…うぅ… …ふぇぇぇ…」 力の入らない腕を必死に上げ、社長の頬に手を添えた。 いつも綺麗に剃られている顎、頬に無精髭の感触が伝わってきた。 「…しゃ…ちょう...…」 痺れて力の入らない腕で社長の身体に抱きついた。 社長の腕も苦しいくらいに私を抱きしめ、全裸の私のカラダを確認するように手が動いていた。 「すまない…、目ぼしを当てるのに時間掛かっちまった」 謝罪を口にする社長。 (...私を探してくれていたの...?) 「…で、でも、なんで…? 私の携帯から酷い内容のLINEが送られていたのに…」 とっくに見放されたと思っていた。訴えるとかLINEで私になりすまし送っていて、勝手にしろと突き放されたLINEの返事を思い出した。 「なりすましだって事くらい、すぐ分かったよ。 あれ以上やりとりしたら拉致った男に不審がられるだろ…?」
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