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目隠しをゆっくりと外された。
あの醜悪な怪物を見たくなく、アイマスクを取られた瞬間は伏目がちにした私。
「…大丈夫か…舞…」
抱きしめる腕の感触…手首の返し…私の身体の下敷きとなり、クッション替わりに添えられた逞しい太もも。
些細な所作に優しさが伝わってきた。
「…えっ…
…
…ウソでしょ…?」
外されると、目の前には社長が居た。
何日も…何時間も涙を流し続け…枯れたと思った涙が…
…この数日間…一番流した。
「あっ…うぅ…
…ふぇぇぇ…」
力の入らない腕を必死に上げ、社長の頬に手を添えた。
いつも綺麗に剃られている顎、頬に無精髭の感触が伝わってきた。
「…しゃ…ちょう...…」
痺れて力の入らない腕で社長の身体に抱きついた。
社長の腕も苦しいくらいに私を抱きしめ、全裸の私のカラダを確認するように手が動いていた。
「すまない…、目ぼしを当てるのに時間掛かっちまった」
謝罪を口にする社長。
(...私を探してくれていたの...?)
「…で、でも、なんで…?
私の携帯から酷い内容のLINEが送られていたのに…」
とっくに見放されたと思っていた。訴えるとかLINEで私になりすまし送っていて、勝手にしろと突き放されたLINEの返事を思い出した。
「なりすましだって事くらい、すぐ分かったよ。
あれ以上やりとりしたら拉致った男に不審がられるだろ…?」
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