第二十章 贄

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途切れそうな一言を私に告げると抱えていた私を廊下側に零れ置き… 男の両脚目掛けて抱きつき、反り投げるようにリビングへと投げ入れた。 「ぐぅ…!」 意表を突かれた男は呻き声を上げた。 社長は… 「…い、行け…っ」 人がこんなに流血している所なかった。 「し…しゃ…ちょう…」 涙でグシャグシャに汚している私。 必死に止めている社長の体に男の拳、膝が打ち込まれ振り解こうと殴打し始めた。 「離せ!オラッ!!!」 体格では圧倒的に社長に分があるはずだけど…、最初の一撃で動く事さえ辛そうにしている社長。 それでも必死に…私の為に、狂人を抑えて… グっと心を引き締め、社長に告げた。 「今!…人呼んできますから!!!」 社長に告げ、悪夢のような部屋を後にした。
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