第6章:恋の炎は心の芯に灯し続ける

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「んっ……穂高さんは全然、感じてないの?」  もしかして俺の中がいつの間にかガバガバになってしまって、感じられないとか――!?  恐るおそる訊ねた俺の視線を、ワザとらしくふっと避けて、あらぬ方を見た。 「感じてないワケじゃないのだが……」 「俺の中、気持ち良くないの?」  よいしょっと起き上がって繋がったままになってる部分を覗きこみながら、くいくいっと腰を動かしてみる。ヌチャヌチャッという卑猥な音が出て、腰がじんじんしてきた。ヘタっていたアソコが、見る見る内に回復していくレベルってスゴイ。 「駄目だよ、千秋。勝手に動かさないでくれ。すごく気持ちがいいから」 「でも……無理してない?」 「無理とかまったくしてないよ。むしろ困ってる」  起き上がった俺の躰を、両腕を回してぎゅっと抱きしめてくれた。しっとりとあたたかい、穂高さんの素肌の熱――これを感じることも、しばらくご無沙汰になっちゃうんだな。 「困ってるって、何が?」 「その……挿れた瞬間千秋がイったときに、俺も一緒にイってしまって。初めてのことで戸惑っているトコに腰を動かされたんじゃ、またすぐにイってしまいそうになってる状態って言ったら、分かってくれるだろうか」 「え~~~っ!?」  頬を染めて仕方なしに俺を見つめる、穂高さんの顔がすべてを物語っていた。 「だだ、だって俺にいっぱい卑猥なことを言って、散々翻弄していたのに」  途中から苦しそうな感じで、額に汗を浮かべていたのを見ていたけれど、笑いながら進んでアレコレしていたのは穂高さん本人だった。 「翻弄されていたのは俺の方だよ。これ以上、翻弄してどうしようというんだい?」  テレを誤魔化すように、くちびるが重ねられる。 「んっ……」  重ねられたくちびるが、再び角度を変えて貪るように舌を絡めてくれる。そのお蔭で、更に躰が熱くなっていった。  俺が心配する前にしっかり者の恋人は時間配分から、躰の疲労具合まで完璧に把握してくれるんだ。いつもピッタリに調整してくれるから、任せっきりにしている。 「これが終わったら、一緒にシャワー浴びないといけないよ」  ほらね、予想通りだ――。  ゆっくりとベッドに躰を押し倒して告げられる言葉に答えるように、穂高さんの躰を引き寄せた。ひとときの別れを惜しむかのように、俺たちは貪り合ったのだった。
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