第1章:突然の告白

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 ――本当に困ったな……。 「穂高さん、いい加減にしてくださいよ。そろそろ家を出ないと、フェリーに間に合わないって」 「もう少しだけ……。あともう少しだけお願い」  前にもこんなことあったけど、それと全然違うのはベッドの中、俺の隣にいる穂高さんが目を閉じて真剣な表情を浮かべながら、あるモノをぎゅっと握りしめている。それゆえに、俺は動けないでいた。 「そんなの握りしめて、何を瞑想しているんですか? 呆れてしまいます……」 「長い夏休み中に、型を取っておくべきだったと後悔しているトコ」 「エ━━━(;゚д゚)━━━・・」  真剣にナニを悩んでいるのやら。聞くんじゃなかった――。 「千秋のと一緒に俺のも型をとって秘密裏に作り上げ、帰るときに俺のを持たせてあげれば、向こうでも寂しくないだろう?」  目をキラキラさせながら何気にすっごいことを言ってるの、理解していないだろうな。だって穂高さんだから……。 「……も、もしもそれを貰ったとして、帰ってる最中に不測の出来事に遭遇したせいで手荷物検査にあった場合、俺はどうすればいいんですか? 絶対にそれのせいで挙動不審になった挙句に、警察に捕まっちゃいますよ」 「しっかり釈明すれば、いいだけの話じゃないか。遠距離恋愛してる恋人のことを想って、コレを使って慰め――」 「言いませんっ、やりませんっ、いりません!! それにもう放してください。フェリー乗り場に今頃、皆が集まっているだろうから」  前回この島に来た時は1人きりで、帰るときは穂高さんに見送られないようにあえてそうして、涙しながら帰った。  だけど今回は漁協で一緒に仕事をしたオバちゃんたちや船長さんが、見送るからねと、わざわざ申し出てくれたのだ。  なので挨拶すべく家を出たいのに、穂高さんがナニから手を離してくれない。
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