第1章:突然の告白

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 ゆっくりと腕を外してくれた彼にいつものように笑いかけると、一瞬だけ目を合わせてから、ふいっと逸らされてしまった。 (――あ、あれ? 何か今ので、キズつけることでもしちゃっただろうか?)  自分よりも少しだけ背の高い竜馬くんを見上げて、じぃっと顔色を窺うと、何気に頬が赤く染まっていて、更なる疑問が沸いてしまう。  何だろ、俺ってば恥ずかしいことを知らない間にしちゃったのかな? 穂高さんの天然が移ってしまったのだろうか? 「えっと竜馬くん。俺やっぱり何か――」 「ちがっ! ゴメンなさい、ホント……アキさんの笑顔見たら、その」 「その?」 「やっ、それに頼りない先輩なんて、思ってないから。全然……むしろ――」  どんどん顔を赤らめてキョドキョドする竜馬くんに、首を傾げるしかない。 「むしろ、なぁに?」  ちょっとだけ背伸びをしてずいっと顔を近づけたら、息を飲んで目を見開いた。  その表情を不思議に思って見つめていたら、いきなり右手を握りしめられる。痛いくらいにぎゅっと。  俺に縋りつくような眼差し――もしかして夏休みの不在中に、竜馬くんの身に何かあったのかもしれない。 「アキさん、ちょっと変わったなって。男に向かってキレイって言葉を使うのは変かもしれないけど、前と比べたら格段に変わったよ。もしかして、彼女ができたとか?」  他人に滅多に褒められることのない容姿を指摘され、ぶわっと頬が熱を持った。  穂高さんがこういうのを言うのはいつもなので、「そんなに褒めても、何もでないですよ」って多少テレながら逃げることができるけど、相手は友達なので思いっきり困惑する。 「ぅぁ……。か、カッコイイ竜馬くんに褒められるとか、ビックリしちゃった。彼女なんてできる環境じゃなかったよ。バイト先は、オバちゃんばっかりだったし。どうしてキレイになったんだろうね、アハハ……」  きっと穂高さんのせいなんだろうな――毎日を一緒に過ごし、いろんな出来事に遭遇したけど、ふたりで乗り越えていって更に絆が強まった。  絆と共に愛情も深まったお蔭で、彼を想うたびに身体が熱くなった。それを何とかしたくて求めたら、それ以上の熱で俺を求めてくれた。何度も彼の熱で蕩けさせられたので、雰囲気が変わったというのなら、この行為が理由かもしれない。
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