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「照れてる顔も、すっごく可愛い」
「やっ、さっきからどうしたんだよ、もう」
握りしめられてる手から伝わってくる、竜馬くんの体温。さっきからすごく熱いな。外が蒸し暑いせいだろうか? まるで穂高さんの手のようだ。
「あのねアキさん、ちょっと確認したいことがあるんだけど……」
「確認したいこと?」
「そう。かなり前の話なんだけどさ、アキさんがバイトあがる前に、よく来てたお客さんいたよね? 赤い車に乗ってる人」
竜馬くんの言葉に、胸がドクンと強く打った。それを合図に、どんどん駆け出すように早さが増していく。
「その人の車に乗って帰ってる姿、見たから。その……偶然キスしてるとこも」
「え――」
「ソイツと付き合ってるのかな?」
心臓が耳元で鳴り響くように、バクバクした音が聞こえてきた。
どうしよう、友達に知られてしまった――しかもキスしてるトコまで、見られていたなんて。注意してたのに、それなのに、どうして……。
ゆっきーがリーマンと付き合ってるって知ったときは、自分と同じだという安心感から偏見なんてなかったけど、竜馬くんは違う。
息を飲んだまま固まってしまった俺をじっと見つめ、空いてる手で頭を撫でてくれた。宥めるように何度も。
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