第1話 最期への序章

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「・・・・・・・・・・」 真琴は顔から表情を無くした。まるでその顔は熱を持たぬ闇人形のようだ。片手で顔を隠して深く息を吸い吐く。そうして片手を降ろし見えた顔は諦めともある決意をしたような顔にも見えた。ふと、真琴は机の引き出しを開けて何かを取り出した。それは、銀色に煌めく鋭利なナイフだったそれを見つめながら真琴はただただ、その時が来るのを惜しんだ。 夜 10時58分 真琴は川に来ていた。街灯も数ヶ所あるがその間が遠いため明るくない真琴はその薄暗い闇のなかでひっそり待っていた。この、仮初めの日常に終わりを告げる混沌が来るのを。すると後ろから 「やぁ、初めまして七城真琴さん?」 あぁ、終わりが来た。全部全部終わりだそんな事を思った。無意識に拳を握る。自分の名前を呼んだ人物の方へゆっくりと振り返ると・・・ あの夢で見た女が居た あの、男を殺した女と寸分違わずにいる。あの夢と全く同じ格好だ。真琴は喉が異常に乾くのを感じた、喋ることが出来そうにないくらいだったがそれでも真琴は喋ろうと口を開いた。 「・・・・あんた、一体何なんだ」 その問に目の前の女は 「ふ、ふふふふっそれは君が一番知っているんじゃないのかい。真琴さん?」     
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