第2話 恐怖

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「狂魁さん・・・俺の事、殺してください・・俺は裁かれるべき悪人でしょう?・・・あんな警察なんかに裁かれたくもないだって、アイツ等は俺たちを助けてくれなかったっだからこそ、悪人を裁く貴方にお願いしたいんです。狂魁さん殺してくださいお願いします・・・・」 真琴は霧幻狂魁のコートをさらに握りしめ俯いた。霧幻狂魁はそんな真琴の顔を両手で包むように掴みぐいっと顔を上げさせた。 「虐待は無慈悲で無意味で絶対なる暴力と言う名の悪だ。それは最低最悪の悪なんだ。君がやったことは一般的からして悪になるだろうが私はね家族を守ると言う良いことだと思うんだ。君は我慢に我慢を重ねて回りも助けてなんてくれやしない君や家族を守れるのは君しか居なかった。だからこそそれを犯してしまっただけだ。―――・・・本当なら私は君も救うはずだったんだ」 そう言うと霧幻狂魁は涙を流す真琴の涙を拭うと距離を置いた。コートがたなびいている。 「真琴さん、頼む精一杯生きてくれ。地べたに這いつくばってもどんな困難が来ようと絶望の中でも意地汚くとも人を殺したと言う十字架を背負い精一杯生きてくれ!」 「狂魁さん・・なんでなんで俺にそんなことを言うんですか・・・・」 霧幻狂魁は、それにたいして 「―――・・・君は私に似ているんだ」 と、言った。その声色が寂しそうな悲しそうな嬉しそうな感じだった。真琴はそんな霧幻狂魁の顔を見て疑問に思った。一つの街灯がジジジジッと音をたてて消えた。     
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