雨の放課後

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 中学三年の時だった。私は、佐藤とはたまたま席が隣になった。  気づくと親しくなっていた。正直に言うと、私は、少し佐藤のことが好きになっていた。でも、心にブレーキをかけていた。なぜなら、佐藤には、二年の時から付き合っているカノジョが隣のクラスにいたからだ。クラス替えの時、大げさに彼女が嘆いていたのを女子はみんな知っている。あれは、彼女のアピールだ。佐藤と別々のクラスになることが本当に悲しいのもあるだろうが、それとは別に他の女子たちに対する「私がいるのだから手ぇ出すんじゃないよ」という牽制だ。  もちろん知っていて手を出す女子などいるわけがない。彼女は、学年一目立つ存在で入学早々上級生たちから「今年きた一年ですげえかわいい子がいる」と噂になったような美少女だ。また、バレー部のエースで一軍の中の一軍のような女子だった。彼女を筆頭としたグループも派手でクラスを仕切る存在の女子たちで、そんな彼女を敵にまわす者などいようはずがなかった。当然、私もだ。
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