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だが、三年になって佐藤と彼女は、うまくいかなくなったらしい。どうやら佐藤の方に気持ちがなくなってきたようだ。泣いている彼女をグループの女子が慰めている場面を目撃したこともある。
ある日、突然私は、彼女のグループに呼び出された。
彼女のクラスの隅で、
「アンタ、どういうつもり?」
と、彼女のとりまきのひとりから言われた。
「なにが?」
と、私は答えた。質問の意味はわかっていたが、私は無実だ。だからわざとわかっていないフリをした。
私のその言い方が気に入らなかったらしい。また別のとりまきが私の肩をこづいた。
「ブスが調子にのってンじゃないよ! なんで呼び出されたかくらいわかってンだろ?」
私は、俯いた。誤解だ。なにもないのだから謝るのもおかしい。いや、それでもここは謝るべきなのだろうか、なにもないのは本当だが、少しでも佐藤をいいなと思った時点で謝罪すべきなのかもしれない。
下を向いたまま小さくなっている私は、泣きそうに見えたのかもしれない。それまで黙っていたカノジョが言った。
「泣きたかったら泣けば? でも、私はアンタを許さないからね」
そこでチャイムが鳴った。私は、自分のクラスに戻らねばと思ったが、この空気でそうしたら恐ろしいことになりそうで動けずにいた。
少しして先生がやってきてしまった。迷ったが私は、何も言わずその場から逃げた。背中に彼女たちの睨む目を感じながら。
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