雨の放課後

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そこから私は、どういうわけか無関係のクラス全員の女子から卒業するまで無視され続けたのである。最初、いつものように無邪気に話しかけてきていた佐藤ですら空気を読んだのか私には話しかけてこなくなった。私は、完全にクラスで孤立した。  私は、雨で良かったと思った。傘を傾ければ表情を見られない。 「ホント、サイテーって思った」  私は、佐藤の方を見ずにそう言った。でも、もうどうでもいいと思っている。根に持ってはいない。私の言い方がサバサバしているように聞こえたのか、佐藤は、ほっとした様子であの頃みたいに話しかけてきた。 「だよね。本当に悪かったと思っている。女子たちもひどいよな。百八十度態度変えてさあ」あははと笑う。そこ、笑うところか!? と私は頭にきた。  佐藤は、私の気持ちに全然気づいていない様子でべらべらと喋っている。傘を貸してくれた時は、心からありがとうと温かい気持ちになったけれど、やっぱりコイツ、サイテーと思った私は、もうこれ以上佐藤と一緒にいたくなかった。お調子者でパッと見た感じカッコイイ佐藤は、女子からモテる。でも、中身は、自己保身でいっぱいの責任回避オトコだ。 クラスの女子全員から無視されている私を見て見ぬふりをした時点で、ちょっといいなと思っていた私の佐藤に対する気持ちは粉々になった。  佐藤は、再び私と仲良くなれそうで嬉しいみたいなことを一方的に喋っている。バカめ。私は、家についたら傘を捨てようと決めた。
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