0人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしは朝顔、あの子の家に蔦を絡める。
そうしてわたしはあなたが好きよ。
六月のおわり、雨の日にあなたが
わたしが知るどんな青空よりもずっと、わたしの蕾の中に閉じ込めた青よりもずっと青い傘を差しかけて、ちいさく微笑みかけてくれたその日から。
わたしは朝顔、きっと今日の夕方には醜くしおれて枯れてしまう。
この花びらに閉じ込めた青も、日が傾き始める頃には、赤紫へと変わってしまう。
あの雨の日にあなたがくれた、空の青が変わってしまう。
だからどうか、今のわたしを見てください
あなたがくれた空の色を、
あなたの青い傘の色を、
たったいちどの、わたしの色を。
わたしがバラやガーベラだったら、あなたがあの子へ思いを伝えるために、この身を手折って差し出したのに。
だけれど、わたしは朝顔で、儚い恋しかできません。
さよならあなた、真夏の日照りに照らされて、
わたしは空に、なれるかしら。
最初のコメントを投稿しよう!