ピペがタマゴを拾ったこと

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 大きな籠を背負って、ピペは狩りに出ていた。  食べられる草や、採れれば薬草やら、木の実や草の実、食べられそう、使えそうなものは何でも採る。場合によっては小動物を狩ることもある。  あたりは灌木がとぎれ、草地になっていた。  背の丈を超えるような草を分けるように進みながら、使えそうな草は鎌で刈ったり(なた)で割って取ったり。草といっても、身長が90センチぐらいしかないブッシュランナーから見れば、十分に巨大なのだ。  ブッシュランナーは、徹底的に灌木や草地や川の入りまじった土地に住むのに適応した種族だ。  もふっと毛が生えていて、しかも肉球がある足は、草地だろうが灌木の間だろうが音もなく忍び歩くのに最適だし、小さくて器用な手先は、さまざまな細工物をするのに便利だ。服だって道具だって、ほとんどは自分や村の誰かの手作りだ。 「うわあっっっ、ごちそうだーっ!!」  ピペは、喜びのあまり大声をあげた。  背の丈を超えるような草を分けた先には、形からはタマゴとしか思えない、でも巨大すぎる丸いものが、えらそうに転がっていた。  ブッシュランナーは、あたりで採れるもので生活しているから、鳥類のものらしいタマゴを見れば、食べることしか考えない。  ピペも、もちろん、タマゴを見つけたら、それは食べ物だとしか思わない。 「おっきいなあ。どうやって持って帰ろう……」  背の丈ほどもある大きさ。ウズラの卵のように、不定形の模様がある。
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