ピペがタマゴを拾ったこと

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「鳥の卵かなあ。かなり大きいし、カラも厚いから、食べたあとも、役に立ちそうだな~っ」  ピペは、タマゴのカラをたたいて、かなりほくほくしている。 「う~ん、やっぱり籠には入らないか」  タマゴの隣に籠をおろして並べてみる。  タマゴのほうが、明らかに大きい。 「どうやって持って帰ろう……」  考え込むように、ウェーブのかかった栗色の髪をかき上げる。  キュロットパンツをはき、ブラウスの上に上袖がふっくらとした上着、花を編んだ髪飾りだってよく似合っている。人間でいったら十五~七歳というところだ。  ピペは、考えこむ。  昔、子ども学校で習った。 「手に負えない獲物だったら、一人で無理せず、人と協力すること」 「手に負えない敵だったら、ひとまず逃げて、みんなと協力してやっつけること」  誰かを呼ぶ?  ここを離れているあいだに、他の生き物にとられてしまうかも?  それに、これは、獲物でも敵でもない。動かない、タマゴなんだから。  それと、こんなに大きなタマゴを取って帰ったら、村のみんなに一目置いてもらえる。  そのためには、一人でやらなくちゃダメだ。  誰かに手伝ってもらったら、ピペの手柄にならない。  独り立ちしたばかりのピペは、何かちょっと大きな事をして、もう一人前なんだね、と、みんなから認めてもらいたくてたまらないのだ。
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