76人が本棚に入れています
本棚に追加
ピペが見つけた大きなタマゴは、あっという間に村じゅうの話題になった。
そしてその夜は、おひろめ会。
大物が取れたとか、信じられないぐらいの大漁だったとかいうときに開かれる、村祭りみたいな食事会だ。
おひろめに出せるようなものが取れたら、みんなから一人前として認めてもらえる。
同じ年齢では、まだほとんどおひろめに出せるような獲物を捕った者はない。
ピペは、鼻高々だ。
村じゅうで準備をして、みんなで楽しむ。
メインは、その大物だが、それ以外にだって、たっぷり料理や飲み物が並ぶ。
村のみんなは、こうしてみんなで集まって楽しく飲み食いするのが大好きだ。
集まらないのは、村を離れている人とか、偏屈な何人かぐらい。
別に、村長なんてものもなく、狩りや釣りなんかが得意な人は尊敬されて上座をすすめられるし、料理のほうを仕切るのは、料理上手な村人たちだ。
みんなで使う大きな机に、山盛りのご馳走。
秘蔵のお酒を出す人もあれば、新作料理を作ってみせる人もある。
裏方しかしない人はいなくて、料理好きが順番に料理をして、食べるのも、順番で。
おなかがいっぱいになってくると、歌ったり、踊ったりも始まる。
「そろそろ、おひろめをどうぞ! ピペ。ピペリアリ!」
席の中ほどで、同年代のみんなとおしゃべりをしていたピペは、背筋を伸ばして立ち上がった。
ピペの大きなタマゴは、リボンで飾られて、上座の脇に置かれている。
用意された大きなたき火では、大きなフライパンが熱々になっている。
「えーっと、本日は、私の大きなタマゴをおひろめします。
西の草地で見つけたタマゴです」
最初のコメントを投稿しよう!